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スペースX / クルードラゴンすべての解説
国際宇宙ステーションにドッキングしたドラゴンの窓越しに見える、もう1機のスペースXのドラゴン写真:NASA
スペースX5分で読めます2026年10月

クルードラゴン

2020

乗組員を軌道へ運ぶ、スペースXの再使用型で自動ドッキングするカプセル。

クルードラゴンは、正式名称をスペースX・ドラゴン2という再使用型の宇宙船で、宇宙飛行士を地球低軌道(LEO)へ運ぶ。最大7席を想定して設計されたが、これまでの飛行はすべて4席の仕様で行われている。ファルコン9ロケットの先端に載って軌道に上がり、パイロットの操縦なしで国際宇宙ステーション(ISS)にドッキングする。帰還時はパラシュートで海に着水し、回収と整備を経て再び飛ぶ。2020年5月30日には、NASAの宇宙飛行士ボブ・ベンケンとダグ・ハーリーを軌道へ運んだ。2011年にスペースシャトルが退役して以来、米国本土から初めての有人打ち上げだった。

クルードラゴンとは

クルードラゴンは、果たす役割の割に小さい。高さ8.1m、直径4mで、乗組員が乗る与圧キャビン(密閉され呼吸ができる空間)の容積は9.3立方メートル、これに容積37立方メートルの非与圧のトランクが加わる。トランクは機器を運び、カプセルが大気圏に再突入する前に切り離される。クルードラゴンは、スペースXが先に開発した貨物用のドラゴンの有人版で、座席、生命維持装置、打ち上げ緊急脱出システムを加えてつくり直したものである。

クルードラゴンのトランクは、キャビンよりはるかに大きな容積を持つ

クルードラゴン誕生の背景

クルードラゴンは、NASAの商業乗員輸送計画から生まれた。この計画の目的は、スペースシャトルの退役後に米国からの宇宙飛行士の打ち上げを取り戻すことにあった。手段は、政府がロケットをつくる代わりに、民間企業から完成したサービスを買うことだった。2011年にスペースシャトルが退役したあと、米国はISSへ行くだけのためにロシアのソユーズの座席を買う必要があった。計画は、輸送をまるごと請け負う民間企業に代金を払うことで、この依存を終わらせようとした。スペースXはボーイングとともに資金を獲得し、クルードラゴンは民間企業が製造・運用する宇宙船として初めて人を軌道へ運んだ。

仕組み

2種類のエンジンが、まったく異なる役割を担う。クルードラゴンには小型のドラコ・スラスターが16基あり、1基あたりの推力は約400ニュートン(N)である。これが軌道上での小さな軌道修正と、カプセルの向きの維持を受け持つ。より大きなスーパードラコ・エンジン8基は打ち上げ緊急脱出システムを構成し、ロケットに異常が起きた瞬間にカプセルを引き離す。スーパードラコ1基の推力はドラコ1基の約180倍で、8基を合わせると最大で推力約54トン(12万ポンド)を出せる。2015年の発射台緊急脱出試験では、スーパードラコがドラゴンを約2秒で約100m、5秒強で500m超(約3分の1マイル)引き離し、短い慣性飛行のあと最高高度は1,500m近くに達したとスペースXは報告した。2020年1月の飛行中緊急脱出試験では、上昇中で最も過酷な局面でもシステムが機能することが示された。ドッキングはパイロットの操縦なしで行われる。2019年3月のデモ1では、ドラゴンが米国の宇宙船として初めてISSに自動でドッキングし、そのことを実証した。

クルードラゴンの経済学

NASAはスペースXへの支払いを段階的に行い、それぞれの契約はスペースXが納めるべきハードウェアと結びついていた。

NASAはクルードラゴン開発のため、段階を追って大きな額をスペースXに賭けた

各段階からは、NASAの信頼が高まっていく様子がわかる。まずスーパードラコ緊急脱出エンジンと乗員キャビンを実証するための小さな契約、次に脱出システム、電子機器(アビオニクス)、生命維持装置を統合するための大きな契約、そして2014年には認証と最大6回のISS運用ミッションのための26億ドルの契約が結ばれた。2014年の契約はボーイングと分け合って総額約68億ドルで、固定価格のため、開発費の超過リスクは企業側が負った。NASAは2022年8月にさらに5回の飛行を購入し、スペースXの契約は14回の有人ミッションで約49億ドルになった。再使用はスペースXのコストを下げる。既存のカプセルが飛ぶたびに、製造費をより多くのミッションで分け合えるからである。

クルードラゴンの現状

クルードラゴンは、NASAの国際宇宙ステーション(ISS)への乗員交代飛行を担う唯一の米国の宇宙船である。2026年2月13日にクルー12がフリーダムで打ち上げられ、2026年10月1日にはクルー13がグレースで続いた。クルードラゴンにとって21回目の有人飛行である。

2026年10月までにクルードラゴンの各カプセルが行った有人ミッションの数

最も多く飛んでいるカプセルのエンデバーは、2025年8月にクルー11で6回目のミッションを始めた。クルードラゴンは、NASA以外の乗組員も運んでいる。2021年にはインスピレーション4が、初めて民間人だけの乗組員を軌道へ運んだ。2024年にはポラリス・ドーンが高度約1,400kmまで上昇した。1972年のアポロ17号以来、有人飛行として最も高い高度で、1966年にジェミニ11号が打ち立てた地球周回軌道の記録を塗り替えた。乗組員はスペースX製の宇宙服で、初の民間宇宙遊泳も行った。アクシオムの飛行などの民間ミッションは、現在、NASAの乗員交代と同じカプセルで並行して飛んでいる。

今後の展望

グレースは、スペースXが新造を予定する最後のクルードラゴンである。そのため、NASAの乗員交代や民間ミッションが増えれば、5機のカプセルそれぞれの飛行回数が増えることになる。2017年2月、イーロン・マスクはツイッター(現X)に「ドラゴン2の実証ミッションが順調に進めば、スペースXは2018年に米国の宇宙飛行士を飛ばせると強く確信している」と投稿した。初の有人飛行は2020年5月に実現した。

まとめ

クルードラゴンは、米国の有人宇宙飛行を、NASAが1回ごとに購入するサービスに変え、有人打ち上げを米国本土に取り戻した。NASAの乗員交代でISSへ向かう米国の手段はクルードラゴンだけで、同じ5機のカプセルが、交代飛行の合間に民間の乗組員を運んでいる。

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年表

  • 2011年4月:NASAが商業乗員開発(CCDev)第2段階でスペースXに7500万ドルを拠出し、スーパードラコ緊急脱出エンジンと乗員キャビンの試作を進める。
  • 2012年8月:NASAが4億4000万ドルの商業乗員統合能力(CCiCap)契約を結び、脱出システム、電子機器、生命維持装置の統合を進める。
  • 2014年5月29日:イーロン・マスクがスペースXのホーソーン本社でドラゴンV2を発表。
  • 2014年9月16日:NASAが26億ドルの商業乗員輸送能力(CCtCap)契約を結ぶ。認証と最大6回のISS運用ミッションが対象。
  • 2015年5月6日:クルードラゴンが発射台緊急脱出試験を完了し、スーパードラコによる打ち上げ緊急脱出システムを実証。
  • 2019年3月:デモ1でドラゴンが米国の宇宙船として初めてISSに自動でドッキング。
  • 2020年1月:クルードラゴンが飛行中の打ち上げ緊急脱出試験を完了。
  • 2020年5月30日:デモ2でベンケンとハーリーがエンデバーに乗って打ち上げられ、米国の有人宇宙飛行が復活。
  • 2020年11月:クルー1で、初の運用段階の6カ月間の乗員交代が始まる。
  • 2021年9月18日:民間人だけによる初の軌道ミッション、インスピレーション4がフロリダ沖に着水。
  • 2022年8月31日:NASAがさらに5回の飛行を購入し、スペースXの有人輸送契約は14回のミッションで約49億3000万ドルに。
  • 2024年9月:ポラリス・ドーンが高度約1,400kmに到達。アポロ17号以来、有人飛行として最も高い高度で、乗組員は初の民間宇宙遊泳も行う。
  • 2025年8月1日:クルー11がエンデバーで打ち上げられ、同カプセルの6回目のミッションが始まる。
  • 2026年2月13日:クルー12がフリーダムで打ち上げられる。
  • 2026年10月1日:クルー13がグレースで打ち上げられる。クルードラゴンにとって21回目の有人飛行。
出典(15)
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