モデル3
2017手の届く価格で航続距離の長いテスラの電気セダンで、同社の規模を大きく広げた車。
テスラのモデル3は、テスラの量販向け電気セダンである。ガソリンの代わりにバッテリーで走る5人乗りの車で、航続距離の長い電気自動車(EV)を一般の購入者に届けるためにつくられた。2006年のマスタープラン以来テスラが計画してきた手頃な車であり、高価な電気自動車をつくる小さなメーカーだったテスラを、100万台単位で生産する会社に変えた。モデル3は世界で最も売れた電気自動車となり、2021年6月にはEVとして初めて生産台数が100万台を超えた。
モデル3とは?
テスラは2016年3月31日、カリフォルニア州ホーソーンのデザインスタジオでモデル3を発表した。開始価格は3万5000ドルで、1回の充電で200マイル(約322km)を超える航続距離をうたった。人々は実車を見る前から、この車を欲しがった。返金可能な1,000ドルの予約金を伴う予約は、最初の24時間で20万件近くに達し、数日のうちにその水準を超えた。
モデル3誕生の背景
モデル3は、イーロン・マスクが公に示した計画の第3段階だった。マスクは2006年8月に「テスラモーターズの秘密のマスタープラン」を公表し、シンプルな手順を説明した。まず高価なスポーツカー(ロードスター)をつくり、その資金でより安い車(モデルS)をつくり、さらにその資金でもっと安い車をつくるというものである。モデル3はその3台目の車で、大量に売れて次の計画の資金を生むことを目指していた。3万5000ドルという価格が示されたのは2016年の発表時だが、手頃なテスラという約束は最初からあり、それを実現したのがこの車である。
仕組み
2026年のラインアップは、後輪駆動のスタンダードから、510馬力の全輪駆動パフォーマンスまでそろう。4つのグレードは同じボディーとプラットフォームを共有するが、バッテリーパックとモーターの数(1基または2基)が異なる。そのためテスラは、同じ生産ラインから通勤者には航続距離を、走りを好む人には速さを売ることができる。すべてを一緒に生産することで、台数が増えるほど1台あたりのコストが下がり続ける。
調整できる要素の1つ目は航続距離である。1回の充電で最も遠くまで走るのはプレミアムで、最も速いパフォーマンスは航続距離を少し削って力強さを高めている。
2つ目は直線での加速で、こちらは航続距離と逆の順になる。全輪駆動のパフォーマンスは停止状態から時速60マイル(約97km)まで約2.9秒で達し、スタンダードでも5.8秒と十分に速い。
車の価値はハードウェアだけではない。オーナーは無線でソフトウェア更新を受け取り、テスラのスーパーチャージャー網を使え、オートパイロット用のセンサーも備わる。そのため車は、購入後に古びていくだけでなく、性能が向上していく。
モデル3の経済学
モデル3は、テスラを安定した黒字に導いた車である。転機は2018年半ばで、工場の生産台数が週5,000台を超えた。モデル3とモデルYを合わせた納車台数は、2020年の約44万2500台から2023年には過去最高の約174万台に増え、2025年は約159万台だった。
2026年型スタンダードの価格は3万6990ドルからである。テスラが2016年に示した3万5000ドルはインフレ調整後で約4万9000ドルにあたるため、最も安いモデル3は実質で約4分の1安くなっている。
7000 cars, 7 days ♥️ Tesla Team ♥️
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モデル3の現状
2017年から2018年にかけての生産立ち上げには総力を挙げた取り組みが必要で、マスクはこれを「生産地獄」と呼んだ。フリーモント工場に、テスラが約168営業日で建設した上海ギガファクトリーの支援が加わると、車は本格的に出荷されるようになった。テスラは2025年10月、EPA基準で航続距離321マイル(約517km)のシンプルなグレード、モデル3スタンダードを追加し、ロングレンジのグレードをプレミアムに改称した。2026年第3四半期には、モデル3とモデルYを合わせて47万8237台を納車し、出荷台数全体の98%を占めた。
@timkhiggins Yes, excessive automation at Tesla was a mistake. To be precise, my mistake. Humans are underrated.
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今後の展望
テスラは車を一から作り直さずに、改良を重ね続けている。2023年の「プロジェクト・ハイランド」による刷新で内装、外装、空力性能が新しくなり、2024年4月の改良ではパフォーマンス仕様が復活した。テスラはこれを「完璧な高性能デイリードライバー」と呼んだ。実績のある車を着実に改良し、生産コストの低下が大きな役割を果たすというのが、テスラのやり方である。
まとめ
モデル3は、電気自動車を100万台単位で生産し、一般の人々に売り、スマートフォンのように更新できることを示した。テスラを高価なニッチ車のメーカーから、2025年に約160万台を納車する会社に変えた。
年表
- 2006年8月:イーロン・マスクが「テスラモーターズの秘密のマスタープラン」を公表。ロードスターとモデルSに続く、さらに手頃な3番目のモデルを約束する。
- 2016年3月31日:カリフォルニア州ホーソーンでモデル3を発表。価格は3万5000ドル、航続距離は200マイル(約322km)超。予約は24時間で20万件近くに達し、数日のうちにその水準を超える。
- 2017年7月:フリーモント工場で生産開始。
- 2017年7月28日:最初の顧客への納車。
- 2018年6月:生産台数が週5,000台を超え、生産地獄のボトルネックを抜ける。
- 2018年12月31日:販売初の通年で、モデル3の納車台数が14万5846台に達する。
- 2019年10月:約168営業日で建設した上海ギガファクトリーで生産開始。
- 2021年6月:EVとして初めて世界生産台数100万台に到達。
- 2023年9月1日:プロジェクト・ハイランドによる刷新モデルを発表。外装デザインを改め、内装と空力性能を向上。
- 2024年4月23日:改良型のモデル3パフォーマンスを発表。
- 2025年10月:テスラが低価格のモデル3スタンダードを追加し、ロングレンジのグレードをプレミアムに改称。
出典(13)
- テスラ:モデル3(現行グレードと仕様)
- テスラ:Introducing the New Model 3 Performance(tesla.comブログ)
- テスラ:The Secret Tesla Motors Master Plan (just between you and me)
- テスラ:$35,000 Tesla Model 3 Available Now(tesla.comブログ)
- 米環境保護局(EPA):2026年型テスラ車の航続距離(fueleconomy.gov)
- 米証券取引委員会(SEC):テスラのフォーム8-K、2018年第4四半期と2018年通年の納車台数
- 米証券取引委員会(SEC):テスラのフォーム8-K、2020年度第4四半期の生産台数と納車台数
- 米証券取引委員会(SEC):テスラのフォーム8-K、2021年第4四半期と通年の生産台数と納車台数
- 米証券取引委員会(SEC):テスラのフォーム8-K、2024年度の生産台数と納車台数
- 米証券取引委員会(SEC):テスラのフォーム8-K、2025年度の生産台数と納車台数
- Tesla North:テスラ2026年第3四半期の納車台数
- 米労働統計局:消費者物価指数(CPI)インフレ計算ツール
- トップ画像:テスラのモデル3、テスラの報道用画像(tesla.com経由)
