スターベース
開発中 · 2014年スペースXのテキサスのロケット工場、発射場、そして自治体。
スターベースは、テキサス州南部の同じ住所にある2つの顔を持つ。1つは、ブラウンズビル近郊のボカチカにあるスペースXの主力ロケット工場と発射施設である。もう1つは、その施設の周りに住民が2025年5月の投票で誕生させた小さな市だ。スペースXは2012年に土地の買収を始め、2014年8月にこの場所を正式に決めた。かつての低木の荒れ地には、いまや同社の本社、史上最大のロケットの工場、そして市長のいる町がある。
スターベースとは?
スターベースは、スペースXがスターシップをつくり、飛ばすための主要な拠点である。スターシップは、人と貨物を月や火星に運ぶための完全再使用型の超大型ロケットだ。超大型ロケットとは非常に重い荷物を運べるロケットのことで、スターシップは飛んで戻り、再び飛ぶように設計されている。スターベースは、施設を囲む小さな市の名前でもある。州の一般法に基づく町で、市長と2人の委員が運営し、面積は約3.9平方キロメートルである。
スターベース誕生の背景
最初の理由は、自分たちで管理できることだった。政府の射場は共用で、日程が決められ、規則にも縛られる。しかし、試作機を速いペースで試す計画には、自分たちの時間で動ける場所が必要だった。ボカチカの土地を買ったことで、スペースXは完全に自社で所有する拠点を手に入れ、いつでも好きなときにつくり、飛ばし、つくり直せるようになった。
市はあとからできた。理由はごく普通のもので、誰かがこの場所を治める必要があったからである。従業員と建物が増えるにつれ、行政サービス、道路、土地利用を決める地元の権限が必要になり、市制施行によってその権限が現地で働く人々の手に渡った。
Creating the city of Starbase, Texas
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仕組み
スターベースは、宇宙に向けた生産ラインのように動いている。鋼材が延べ床面積約9万3000平方メートルのスターファクトリーに運び込まれ、完成した機体が発射台と高さ約146mの発射・回収タワーへ運ばれる。タワーの機械式アームは「箸」と呼ばれ、戻ってきたスーパーヘビーのブースターを挟み込む。バージョン3のブースターは高さ約72mで着陸脚がないため、アームが空中で受け止める必要があり、失敗の余地はほとんどない。

スターベースからはこれまでに14回のスターシップ飛行試験が行われた。いずれもスーパーヘビーの上にスターシップを載せた完全な構成で、2023年に2回、2024年に4回、2025年に5回、2026年は9月28日の第14回飛行試験までに3回である。第14回は初めて軌道に到達した。
使い捨てずに回収したブースターが1機増えるたびに、次の飛行のコストが下がる。スペースXの火星計画は、そのコスト低下を前提にしている。
スターベースの経済学
町は小さいが、工場は大量生産を見据えた規模である。スペースXはスターファクトリーで年間最大1,000機のスターシップをつくることを目標にしており、現在の生産量をはるかに上回る。スターベースは2025年11月までに36機を超えるスターシップをつくり、現在スペースXの本社となったこの地では3,400人を超える人が働いている。
スターベースの現在
スペースXは2024年12月、住民による市制施行を認めるようキャメロン郡に求めた。2025年5月3日の投票は大差の結果となった。

有権者283人のうち、賛成は212人、反対は6人だった。ほぼすべての有権者が同じ雇用主のもとで働く町である。スターベースは2025年5月20日に正式に市となり、スペースX副社長のボビー・ペデンが対立候補なしで市長に選ばれ、ジョーダン・バスとジェナ・ペトルゼルカが委員に就いた。2026年2月までに、市は独自の警察組織の設置を承認した。
Starbase, Texas Is now a real city!
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今後の展望
第2発射台がバージョン3の機体向けに稼働を始めた。ブースター19は2026年3月18日、この発射台で初の静的燃焼試験(ロケットを固定したままエンジンに点火する地上試験)を行い、5月には第12回飛行試験がここから打ち上げられた。発射台が2つあれば、スペースXは1機を飛ばしている間にもう1機を準備できる。都市も拡大を目指している。2026年には東側のほぼ空き地約7,133エーカーの編入に動き、実現すれば約8,000エーカーになる。2026年第3四半期の決算でSpaceXは、ルイジアナのスターベース(Starbase, Louisiana)の開発計画も発表した。年間数千回のスターシップ飛行を支える次世代宇宙港で、初打ち上げは2029年を目標とする。
まとめ
スターベースはスターシップをつくって打ち上げ、スペースXの本社を置き、2025年5月からは独自の市政を持つ。市長はスペースXの副社長が務めている。
年表
- 2012年:スペースXがテキサス州ボカチカで土地の買収を始め、政府の共用射場から離れた自社の発射場をまとめ上げる。
- 2014年8月:スペースXが、ボカチカをテキサス州南部の発射場にすると発表。
- 2014年9月22日:ボカチカの用地で起工式が行われる。
- 2023年4月20日:スターシップとスーパーヘビーを初めて完全に組み合わせた統合飛行試験(IFT-1)が、スターベースから打ち上げられる。
- 2023年11月18日:スターベースの第1軌道発射台からIFT-2が打ち上げられる。
- 2024年6月6日:IFT-4で、スーパーヘビーのブースターとスターシップがともに初めて軟着水に成功する。
- 2024年7月:イーロン・マスクが、スペースXの本社をスターベースに移すと発表。
- 2024年:スターシップを大量生産するための延べ床面積約9万3000平方メートルのスターファクトリーが完成する。
- 2024年10月13日:IFT-5で、戻ってきたスーパーヘビーのブースターをタワーのアームが初めて空中で受け止める。
- 2024年12月:スペースXがキャメロン郡にスターベースの市制施行を請願し、本社移転が正式に決まる。
- 2025年5月3日:有権者が、タイプCの市としてのスターベースの市制施行を承認(有権者283人のうち賛成212、反対6)。
- 2025年5月20日:スターベースが正式に市になる。市長はスペースX副社長のボビー・ペデン、委員はジョーダン・バスとジェナ・ペトルゼルカ。
- 2026年2月3日:スターベース市委員会が、スターベース警察を設ける条例を承認する。
- 2026年3月18日:ブースター19(スターシップV3、別名ブロック3)が、スターベースの新しい第2発射台で初の静的燃焼試験を行う。
- 2026年9月28日:スターシップ初の軌道飛行となる第14回飛行試験で、スターリンクV3衛星26基を放出。ブースターはメキシコ湾に、宇宙船は太平洋に着水する。
- 2026年10月20日: SpaceXがルイジアナのスターベース開発計画を発表し、初打ち上げは2029年を目標とする。
