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カリフォルニア州ホーソーンにあるスペースXの工場兼旧本社ビル写真:スペースX
スペースX5分で読めます2026年10月

スペースXの新規株式公開(IPO)

2026

スペースXは約1兆7800億米ドルで上場し、創業者による経営支配はそのまま保たれた。

スペースXの新規株式公開(IPO)は、20年以上非公開を続けてきたスペース・エクスプロレーション・テクノロジーズ(スペースX)が、2026年6月に株式市場にデビューした出来事である。株式は2026年6月11日に1株135米ドルで値決めされ、翌日にティッカーシンボルSPCXでナスダックとナスダック・テキサスで取引が始まり、初日の終値は約161ドルだった。調達額で過去最大のIPOとなり、同社の企業価値は約1兆7800億ドルと評価された。

スペースXのIPOとは何か?

新規株式公開(IPO)とは、企業が初めて株式を一般に売り出し、非公開の所有権を誰でも買える株式に変えることである。スペースXはクラスA普通株式5億5555万5555株を1株135.00ドルで売り出し、約750億ドルを調達した。その後、案件を主導した銀行がオーバーアロットメント(グリーンシューと呼ばれる追加の株式枠)を全額行使したため、最終的な募集は6億3888万8888株、総調達額は約862億5000万ドルに達した。

スペースX上場の背景

スペースXが上場したのは、今後10年のロケット、衛星、人工知能(AI)の計算基盤に資金を充てるためである。目論見書は、利益を上げるインターネット事業のスターリンクがロケットと発足間もないAI部門の費用を支えていると説明している。そのうえで、同社が引き続き「生命を多惑星種にする」こと、そして「意識の光を星々へ広げる」ことを使命とすると明記している。上場前にスペースX株を持てたのは、社内関係者と大口の民間投資家だけだった。今では一般の投資家も株を持てるが、1つ条件がある。

仕組み

その条件とは経営の支配権である。スペースXは、2種類の株式を持つ「支配株主のいる会社」として上場した。クラスA株は1株につき1票、クラスB株は1株につき10票の議決権を持つ。上場後、イーロン・マスクは議決権の約82%(グリーンシューの追加株式の売却後は82.3%)を保有し、IPOで一般に売り出されたのは同社の約4.9%だった。会社を率いるのはマスクであり、一般株主は同社の経済的な持ち分を持つ。

現在の事業報告は3つのセグメントに分かれる。宇宙(ロケット)、コネクティビティ(スターリンク)、AI(イーロン・マスクが2023年に設立し、スペースXが2026年2月2日に買収して5月にSpaceXAIへ改称したxAI)である。この3つのうち1つが、ほかの2つを大きく上回る収益を稼いでいる。

スペースXの売上高の大半を稼ぐスターリンク

財務の柱はスターリンクで、2025年の売上高の大半と利益をもたらした。コネクティビティ部門の2025年の売上高は114億ドル、営業利益は44億ドルで、安定したキャッシュフローを生むサブスクリプション事業である。一方、宇宙部門とAI部門は成長のための投資段階にあった。

スペースX上場の経済学

総売上高は2024年の140億ドルから2025年には187億ドルに増えた。最新の四半期報告となる2026年7〜9月期に、スペースXは前年同期比161%増の146億ドルの売上高を計上した。このうち、AI部門から改称したスーパーインテリジェンス(SI)が76億ドルだった。スターリンクの個人加入者は9月30日時点で1360万人に達した。スペースXの集計では、3月31日時点で約9,600基のスターリンク衛星が、軌道上で稼働する操縦可能な衛星の約75%を占めていた。

スペースXの売上高は2年でほぼ倍増

利益面では、スペースXは成長に向けて大規模な投資を行った結果、2025年の普通株主に帰属する純損失は約49億ドルだった。7〜9月期には、前年同期の11億ドルの純損失から一転して44億ドルの純利益を計上し、調整後の利払い・税引き・償却前利益(調整後EBITDA)は306%増の88億ドルになった。

2025年のセグメント別営業成績

スターリンクは十分な黒字を確保し、最大の投資を担うのはAI部門である。最先端モデルの学習には多額の費用がかかり、スペースXは7〜9月期だけでスーパーインテリジェンスのインフラに164億ドルを投じた。株を買う投資家は、打ち上げコストがそうだったように、AIの計算コストも規模の拡大とともに下がることに賭けている。株式の売り出しと並行して、スペースXは別途250億ドルの社債(利息を付けて返済する借入金)の発行条件を決めた。社債は5本に分かれ、2031年から2056年にかけて償還を迎える。社債の発行は2026年6月26日に完了した。

スペースXの現状

スペースXは、打ち上げと衛星の両方で首位に立つ企業として株式市場に登場した。ファルコン9は2025年に165回飛行し、世界の軌道打ち上げの半数以上を占めた。新たな株式を使った買収も実施している。2026年8月14日、AIコーディング企業のCursorを全額株式交換による600億ドルで買収し、SpaceXSIに統合した。上場企業となったスペースXは、四半期ごとに株主と規制当局へ報告している。

今後の展望

四半期ごとの報告で、スターリンクの成長とスペースXのAI投資の両方を追えるようになった。2026年10月20日の決算説明会では、最高財務責任者(CFO)のブレット・ジョンセンが、2027年第1四半期の売上高の見通しを330億ドルから370億ドルと示した(第3四半期のウェブキャストによる。決算発表資料には記載がなく、未確認)。イーロン・マスクが議決権を握っているため、スペースXは個々の四半期の業績の浮き沈みに左右されず、火星計画のように数十年かかるプロジェクトに資金を出し続けられる。一般投資家が議決でマスクを上回ることはできない。

まとめ

スペースXの上場は過去最大のIPOとなった。売り出された会社は、利益を上げる衛星通信網と、スペースXが数十億ドル規模の投資で育てているAI部門を併せ持つ。一般投資家が持つのは株式のごく一部で、議決権の支配はイーロン・マスクが保っている。

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年表

  • 2002年3月14日:イーロン・マスクがデラウェア州でスペース・エクスプロレーション・テクノロジーズを創業・設立。
  • 2010年:ファルコン9が初打ち上げ。地球低軌道へ約23トンを運ぶ軌道投入級ロケットで、スペースXはのちにそのブースターを再使用できるようにした。
  • 2018年:一部再使用型の超大型ロケット、ファルコン・ヘビーが初打ち上げ。
  • 2023年:イーロン・マスクが人工知能企業xAIを設立。のちにスペースXが買収する。
  • 2024年2月14日:スペースXがテキサス州法人として再設立。
  • 2025年:ファルコン9が165回打ち上げ。世界の軌道打ち上げの半数以上、軌道へ運んだ質量の80%超を占める。
  • 2026年2月2日:スペースXがxAIを買収。AIが宇宙、コネクティビティと並ぶ3つ目の報告セグメントになる。
  • 2026年5月6日:xAIがスペースXの部門SpaceXAIとなる。2026年10月4日にSpaceXSIへ改称。
  • 2026年5月20日:スペースXが上場申請書類のフォームS-1を提出。
  • 2026年6月3日:スペースXがS-1の修正版でIPOの条件を詰める。
  • 2026年6月11日:登録が発効し、IPO価格が1株135.00ドルに決定。
  • 2026年6月12日:SPCXがナスダックとナスダック・テキサスで取引を開始し、初日の終値は約161ドル。基本の募集5億5555万5555株で約750億ドルを調達。
  • 2026年6月15日:オーバーアロットメントが全額行使されてIPOの受け渡しが完了。合計6億3888万8888株、総調達額は約862億5000万ドル。
  • 2026年6月23日:別途250億ドルのシニア債の発行条件が決定。
  • 2026年6月26日:シニア債の発行が完了。
  • 2026年8月14日:スペースXが、AIコーディング企業Cursorの全額株式交換による600億ドルの買収を完了。
  • 2026年10月20日:スペースXが第3四半期決算を発表。売上高は161%増の146億ドル、純利益は44億ドル。
出典(9)
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